白浜といえば、「パンダ、海、遊園地」が有名である。
そこで、まさかの発表があった。
和歌山県西牟婁郡白浜町にあるアドベンチャーワールドより、全4頭のジャイアントパンダが中国へ返還されることが発表。(2025年4月24日)
これにより日本でパンダに会える施設は、東京の上野動物園(全2頭)のみになる。
このニュースを聞いて、驚きや寂しさを感じた人も多いのではないだろうか?
「どうして帰国しなきゃいけなかったの?」「また日本でパンダに会えるの?」といった疑問を持つ方へ、この記事ではパンダ返還の理由、契約内容、政治的背景、そして今後の可能性まで詳しく解説する。

パンダが中国へ帰る理由
そもそもパンダは「貸し出し」である
アドベンチャーワールドのパンダは、中国からの「ジャイアントパンダ保護共同プロジェクト」により日本に滞在していた。
その契約が、1994年から2025年8月で満了することにより、パンダが返還される。
ジャイアントパンダ保護共同プロジェクトとは
世界初の日中長期共同繁殖研究として1994年に開始された。
目的は、飼育下での繁殖技術向上と絶滅危惧種保護である。
また、パンダ外交とも呼ばれ、両国に大きな利益をもたらしている。
パンダは、ワシントン条約下での「貸与」形態を採用し、所有権は常に中国側に帰属する。
赤ちゃんパンダの国籍も中国籍となるため、日本で生まれても自動的に返還対象となる。
そのため、パンダの子供が中国へ度々返還されていたのはこれらの理由からである。
パンダは戻ってくるのか?
アドベンチャーワールドは「保護共同プロジェクト継続を強く願っており、実現に向け協議中」と表明。1
ただし新しいパンダの受け入れは未定で、中国との交渉次第である。
パンダ返還の過去例
和歌山県のアドベンチャーワールドでは、1994年から多くのパンダを受け入れていた。
「永明(えいめい)」をはじめとする複数のパンダを飼育・繁殖させてきた。
そして、2023年2月「永明」と、誕生した双子の娘「桜浜・桃浜」などが契約に基づき中国へ返還された。
これは突発的な決定ではなく、初めから定められていたルールに則った結果である。
パンダが4〜5歳になると繁殖可能と判断され、中国へ帰国し本国での繁殖計画に組み込まれるケースが多い。
したがって、パンダ返還は“別れ”ではなく、契約通りのプロセスであり、国際的に定められたルールに則った必然の出来事なのである。
パンダ不在が白浜に与える影響
パンダの返還は、アドベンチャーワールドだけでなく地域経済にも大きなインパクトを与える。
パンダは観光の「目玉」であり、多くの人を惹きつける存在だ。
そのため、パンダがいなくなると来園者数が減り、周辺の宿泊施設や飲食店などにも影響が広がってしまう。
パンダグッズも多く販売されているため、赤字が大きくなってしまうだろう…
和歌山の白浜町といった地方施設にとっては、パンダ効果は絶大である。
和歌山県の観光産業は、パンダ目当ての旅行客によって支えられていた側面は少なからずある。

パンダ契約の内容について
パンダの貸与契約は非常に詳細かつ厳格で、費用・所有権・返還時期・繁殖方針などが明確に定められている。
中国は、パンダの遺伝資源を国家の財産と位置づけており、契約書では細部にわたって飼育・繁殖のルールを設定している。
日本の動物園や施設は、この契約内容を遵守しつつ、施設整備や飼育環境の改善にも大きな投資を行っている。
さらに、パンダの死亡時には報告義務があり、死因調査まで中国側と共同で行う契約内容になっている。2
パンダレンタル費用
パンダはつがい1組あたり年間約1億円のレンタル料が発生すると言われている。3
このレンタル料は、パンダの保全協力費である。
野生復帰への取り組みや生息地保全、共同研究のための資金として使われている。
ただし個体単体の正確な金額は非公表で、赤ちゃんの場合は年間5,000万~7,000万円とする情報も存在する。
所有権
ワシントン条約下での「貸与」形態を採用し、所有権は常に中国側に帰属する。
赤ちゃんパンダの国籍も中国籍となるため、日本で生まれても自動的に返還対象となる。
「パンダ外交」とは
中国は、パンダを「外交資産」として、友好国に対して一定期間貸し出す制度を採用している。
これが「パンダ外交」と呼ばれる。
貸与契約では、所有権は常に中国にあり、繁殖で生まれた子どもも中国のものと明記されている。
上記にあるが、パンダが4〜5歳になると繁殖可能と判断され、中国へ帰国し本国での繁殖計画に組み込まれるケースが多い。
パンダ外交の目的
パンダ外交の目的は、友好関係構築・国際的影響力拡大である。
パンダは中国にとって外交戦略の一つであり、友好関係の証として貸与される。
一方で、国際情勢の変化や政治的緊張が高まると、貸与が中止されたり、返還が早まることもある。
これは、パンダが「ソフトパワー(文化的影響力)」の象徴であり、国家間の関係を可視化する“外交の鏡”とされているからである。
ソフトパワーとは、相手国を軍事力で脅したり、買収したり、プロパガンダで騙すのでもなく、自国の価値観や文化で魅了・味方につける力のこと。
パンダが外交の鏡である事例
1972年、日中国交正常化に合わせてパンダ「カンカン」と「ランラン」が無償で日本に贈られたのは象徴的な出来事だった。
アメリカでは2023年に全てのパンダが返還され、政治的緊張がその背景にあると報道された。
パンダの動きには国際関係が色濃く反映されており、単なる動物のやりとりではなく、外交戦略の一環である。
まとめ
パンダはアドベンチャーワールドや和歌山において、大きな人気や利益を生み出している。
そのパンダが中国へ帰ってしまうのは、契約満了が原因である。
今後パンダが和歌山に返ってくるかは未定だが、アドベンチャーワールドは「保護共同プロジェクト継続を強く願っており、実現に向け協議中」と表明している。
和歌山からパンダがいなくなってしまうのはとても寂しいので、今後もパンダが残ることを期待したい。
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